
住宅建築に‘軒の出’や‘庇’は必要なのか。
まず、全く無くしてしまった場合、デザイン上はすっきりする・・・・ように見える。‘和’の要素を持つデザインに‘軒の出も庇も無し’というデザイン要素を加えることによって、‘モダニズムと日本のデザインの融合’が達成されたような気にはなれるかもしれないけれど、そんなことで解決するようなら、‘すばらしいシンプルモダンなデザイン’なんかのうたい文句の不動産広告の次元と変わらないわけです。
ただ、‘軒の出や庇’といってもいろいろな‘意味’存在するわけです。
出入り口の庇は深い方が傘がさしやすい、とか。出入り口や窓の庇はしっかりある方が建具が痛まない、とかの実用上の‘意味’。
全体のバランスから軒や庇の深さが割り出されたデザイン上の‘意味’。
人の居場所として想定されたものや季節による光を計算したものなど、建築上の‘意味’。
理由がよくわからない‘深さ’や‘浅さ’をもった(でもそれがときには絶妙のバランスだったり)軒や庇の無‘意味’。
無いなら無いで、それらを絶妙に操ってこその‘建築’なわけです。