
『喜劇とんかつ一代』1963年東宝、川島雄三監督。芸達者が大挙出演する安心して観ていられる喜劇。個人的に好きなのはクロレラばかり食べるべきと唱えながらこっそりとんかつを食べようとする変人科学者を演じる三木のり平ではなく、世界大会(?)での優勝経験を持つ潔癖症の屠殺職人を演じる山茶花究。

『縞の背広の親分衆』1961年東宝、川島雄三監督。『喜劇とんかつ一代』にしても『縞の背広の親分衆』にしても、このころの喜劇を観て笑えるかっていうと正直きつい。今でもこの笑いを正面から受け止められる人っているんだろうか。ただ、毒を感じるほどにだじゃれを連発する森繁久弥に本当に人を笑わせる意思があったとも思えないっていうのは言い過ぎだろうか。とにかくこれらは笑うための映画ではなく、喜劇という失われつつある一つの形を楽しむ映画。それだけで十分価値がある。